アズムール

ナーガ神の・・・聖者ヘイムの血を絶やしてはならぬ。


 グランベル王国の国王。グラン暦757年の時点では、もうかなりの老齢で、国政は息子であるクルト王子が取り仕切っていた。クルト王子の妃のことだけが気がかりで、クルト王子死亡後はヘイムの血も断たれるかと心配するが、クルトの忘れ形見ディアドラが見つかり、安心してその夫であるアルヴィスに国を託す。



 私見の出しようもないかも・・・(汗)
 ただこの年まで王位にあるといういうことはそれなりに名君だったのかと思います。ただこのときにはもうボケていますね。まあ年だしなあ。アルヴィスも多少後ろめたいところはあっても自分の正義を信じていたから、年老いたアズムールには見抜けませんね。あるいはクルト王子が妃を娶るまで、とか思っていたのでしょうか。
 ある意味結局悲劇を見ずに生涯を終えた人だと思うので、彼自身は不幸ではなかったんでしょうねえ。



 序章開始時62歳。5章終了時65歳。グラン暦695年生まれ。グラン暦762年崩御。享年67歳。
 国政のほとんどをすでにクルト王子に任せていて、彼の心配事はただ王子の妃が未だにいないことでした。ヘイムの、つまりナーガの力の継承に関して、かなり心配していたのですが、同時に息子が昔経験した悲恋を知っているため、あまり強く言うことも出来ませんでした。
 クルト王子の死亡には相当ショックを受けるのですが、その直後、アルヴィスが自分の妃に、と連れてきた女性にナーガの聖痕があり、クルト王子の子供であると確信。直ちに二人の婚礼を進めさせます。一方で、シグルド、バイロンが王国を裏切ったことはにわかに信じられないとしつつも、アルヴィスの態度に押し切られ、結局アルヴィスに任せてしまいます。
 そして762年、何も知らないまま後事をアルヴィスに託して静かに息を引き取りました。
 決して暗君というわけではなかったのですが、最後に人を見る目を失った人でした。



クルト


 グランベル王国バーハラ王家の継承者。だが、全ての原因となってしまった人物でもある。
 かつてヴェルトマー公妃であったシギュンを愛し、そして密通してしまったことが全ての始まり。それによりヴェルトマー公は自殺し、シギュンは行方をくらました。
 そしてシギュンのことが忘れられないまま妃を娶らなかった。
 シギュンの死後、その忘れ形見であるアルヴィスを影ながら支援したのがクルトであった。クルトの助力がなければ、アルヴィスのヴェルトマー家掌握はもっと時間がかかっただろう。
 そしてグラン暦758年、イザーク遠征の帰路においてランゴバルトに暗殺されてしまう。



 ずばり、後継者失格(断言)
 いつまでもうじうじと妃を娶らず後継者の自覚なし。かなりダメすぎな人です。為政者としては多分合格点だったと思うのですが、王者としては半分は失格ですね。大体周囲は何も言わなかったんだろうか。シギュンの事が忘れられないからといって、一国の王子が、それも継承すべき光の神魔法ナーガがあるのに後継者を設けなかったのは、明らかに専制君主制の王子としては落第点です。まあ幸運にもディアドラの存在があったわけですが、それが後の暗黒時代を導くことを考えると、やはりとても誉められた人物ではありません。
 それともシギュンが自分の子を宿し、しかもそれがナーガの力を引いて生まれると確信していたのでしょうかねえ?
 あと政治的手腕についても、反王子派という存在を作って、それを知りながら看過していたのはやはり二流といえます。結果、自身の暗殺という事態を招いたのですから。レプトールやランゴバルトのような反対勢力を作ってしまうのはやはり彼が狭い視野を持っていたせいでしょう。



 序章開始時37歳。グラン暦720年生まれ。グラン暦758年死去。享年38歳。
 グランベル王国の統治を父王に代わって任されていて、その手腕においてはまずまずといえました。ただ、周囲はいつまでも妃を娶らないことに関して、かなり不安感を隠せずにいました。
 自分自身、それはよくわかってはいたのですが、どうしても納得できないまま、せめて、という気持ちで善政を布いていました。
 イザーク戦争において撤退論を唱えるバイロンに対して、積極論のランゴバルトを指示しますが、これは国内の政治的なバランスを取ろうという目論見もありました。しかし、彼らの真の目的にはまったく気付きませんでした。そして、イザーク王マリクルと対決。その圧倒的な力に驚愕しますが、かろうじて倒すことが出来ます。
 そして、イザークからの帰路においてランゴバルトに殺されてしまいます。その時、彼はなぜか死を覚悟し、抵抗しませんでした。あるいはそのとき、かつて愛した女性の幻を見たのかもしれません。