フリートーク9

腐女子ネタについての考察


 なんだこれは、ってのはたぶんに正しいツッコミですが……
 まあその辺はご愛嬌。ちなみにこんなものを書いたからといって、いわゆる<女性向>に分類されるネタを書くつもりはこれっぽっちもありませんのでご安心を(爆)

 さて。
 腐女子ネタ。いわゆるホモネタと私はほぼ同義と解釈してますが(違うかもしれませんが、今回の内容ではこの認識で問題はないはず)、これの原型は確か……20年くらい前のアニメ『六神合体ゴッドマーズ』まで遡るはずです、確か。
 私の認識としては、男キャラ同士をくっつけて、それにほぼ恋愛感情に等しいのを絡めて、ものによっては年齢制限が必要な描写すらいれるもの、なんですが。大まかなところではこれであっていると思います。
 この手のネタの発端は前述のとおり『ゴッドマーズ』ですが、その後、とりあえず私の知る範囲でこの系統のネタによる同人誌、あるいはそれに類するパロディが多い作品としては『キャプテン翼』『聖闘士星矢』『鎧伝サムライトルーパー』『天空戦記シュラト』『ガンダムW』などでしょうか。共通点としては、とりあえず男性キャラに比して女性キャラの割合が少なく、かつ『仲間』『友情』といったもので男性キャラが連帯している場合がほとんどです。最近だと『テニスの王子様』がすごいんだっけ?
 が。
 上記に挙げた作品を、腐女子ネタに結びつけるコンテンツ作成する方々についてここで論じるつもりはまったくなく。
 何を言いたいかというと、すでに作成されたオリジナルの作品の時点で、この手のネタを助長するように構成されている、と見られる作品についてを考察してみたいと思います。
 取り上げる作品は『蒼穹のファフナー』と『機動戦士ガンダムSEED』の二つ。
 対称キャラはファフナーが一騎と総士、種はキラとアスランです(当然ですが)
 まずファフナー。
 一騎と総士の設定というか、あの全体的な設定は、明らかに腐女子ネタを刺激するためにしか、私にすら見えませんでした。盛り上がるだろうなあ、と思ったら予想通りでしたしね。この作品は女の子も多いはずなんですけどねぇ。あの設定と演出は……と思いましたが。
 んで。
 果たしてこの二人の関係は、どういうものなんだろう、というのを普通に考えてみたり。とりあえず現時点(24話終了時点)で。
 結論としては、とても強い信頼で結ばれた友情関係なんだろう、と思います。
 一騎は、総士の片目を幼い頃に奪ってしまったという負い目があり、それゆえに常に彼を気にするようになります。それは、自己犠牲的にファフナーに搭乗することでも明らかでしょう。一騎にしてみたら、総士に『死んでくれ』と言ってくれた方があるいは楽だったんじゃないでしょうか。強い自己否定を持つがゆえに。ただおそらくそれを普段は認識しておらず、彼を友人として信頼しており、ゆえにあの『ファフナーと自分たちのどちらが大切なのか』という問いの答えにショックを受け、一騎は島を出てしまうわけですが。
 一方総士にとっても、一騎は特別な存在だったでしょう。一騎がつけてくれた傷は、総士が総士であるために必要な儀式に等しかったわけで、いわば一騎は『総士』という個にとって恩人です。そして彼にとって、竜宮島は最後の『楽園』であり、総士にとって何にも代えて守りたい存在でしょう。外を知っているがゆえに。そのためには、ファフナーは絶対に必要な存在。それを総士は誰よりも良く知っていました。そしてそれを一騎と共有できていると思っていたんじゃないでしょうか。しかしそれは裏切られ、一騎は島を出る。総士にとって、それは許しがたい裏切りに感じられたと思います。しかし、一騎は戻ってきます。より強大な力と、そして同じ価値観とも言うべきものを持って。
 あの『朋友(おかえり)』以降、二人は同じ価値観を共有する、最も信頼する友人として互いを認識していたと思います。そしてその一騎との信頼は、一騎の周りを信頼することにつながり、事実それ以後、総士はそれまで孤高を保っていたように見えていたのが、周囲に溶け込むようになって来ていますし。
 で、この一騎と総士の関係ですが、これはある意味、普通の関係ではあると思います。使い古された言葉を使うなら『硬い友情で結ばれている』というか。そしてそれは、同じものを見、同じ価値観と使命感を共有している同志である、というところにも起因していると思います。究極の信頼関係とも言いますかね。それは同時に、お互いの共通の目的のためには欠かせない存在であり、どちらかがいなくなった場合の喪失感は、そのまま目的の喪失に繋がります。また、一騎は自己否定の先にある完全な肯定を、総士と共有しました。それは、総士によってアイデンティティを確立しているとも言えるでしょう。23話で、一騎が総士が消えたことによって取り乱すのは、彼にとって自己のアイデンティティ、そして目標の喪失による混乱だと思います。
 24話で、さすがに数日を経過して一騎はある程度立ち直ってますが、同時に母(の姿をしたフェストゥム)から『総士は生きている』と聞かされ喜んでいます。それは彼にとって、かけがえのない友人が生きていたことに対する喜びであり、そして未来への希望を見出しているのだと思います。その気持ちは良く分かりますし。
 無論、ここまでの強い信頼関係をもてる相手なんてのはそうそういません。ただ、二人にとってはお互いが、もっとも信頼する同志であり、お互いがいれば、お互いが守りたいすべてを守れる、と思っていたのだと思います。実際、そういう相手がいることは羨ましいとは思います。
 別に腐女子ネタで恋愛絡みを否定するつもりはありませんが。ただ実際、一騎と総士がお互いをどう思っているのか、を男性の視点で見てみたらどうなるか、をつらつらと書いてみました。
 で、今度はガンダム種です。
 先に書いたとおり、キラとアスランなんですが……すみません、キラにとってのアスランと、アスランにとってのキラで別々に書きます。だってどう考えても違うんだもん……。
 まずキラにとってのアスラン。
 これは、ホントにただの友情だと思います。まあ大事な友人ですが、キラにとっては多分アスランとサイはほとんど同じ存在じゃないかと。まあ少し上で、『親友』とは言って……もいいと思うのは多分後半。信頼もしていますが、やはりそれは共闘するようになってからの話で、敵対していた頃は、友人が敵にいる、というのがキラがアスランを強く意識する理由でしょう。多分アスランがサイに変わったところで、それほどキラの対応に違いはなかったんじゃないかと。
 そう判断できる箇所はいくつかあります。
 まず、たびたびのアスランからの誘いにも関わらず、キラは同じ友人を選んだこと。そして、アスランと死闘を繰り広げ、殺そうとまでした時(閃光の刻)、キラはアスランと戦うことはつらかったようですが……殺そうとまでしたことについては後悔してません。キラにとっては、アスランもトールも同じくらい大切。そしてそれを目の前に殺されたからキレちゃっただけで。多分あそこでアスラン殺していた場合、キラは無論それを悔やみはするでしょうが……サイとかに励まされて、あっさり立ち直る気がします。実際、あのニコルが死んだ戦闘で、ニコルの邪魔さえ入らなければ、キラはあの巨大な対艦刀『シュベルトゲーベル』を振り下ろし、イージスを破壊していたでしょうし。
 仲間になってからのアスランは、キラにとっては非常に信頼できる仲間だったでしょう。実力は良く知ってるし、裏切ることもないだろうと。またキラは、この時点で戦うことそのものに対する迷いはほとんどなくなっており、それまで受身的に戦っていたのから、能動的に、自分の意思で戦うようになります。そこへ導いてくれたのはラクス・クラインであり、あるいはマルキオ導師でしょう。……アスラン立場なし。つか、アスランが戦うための理由を教えられていましたしね。
 というわけで……キラ→アスランへのベクトルは、友情以上のものはほぼないと断言できるんじゃないかと。種Dで車で走る中で悩むアスランを見て、肩を抱くのは正直何の違和感もなかったし。つか、ごく自然な対応だと思います。
 が。これはあくまでキラ→アスランの場合。
 どー考えても……逆はただの友情ではないです……私は基本的にこの手のネタは苦手な上にやや否定的な人間なのですが、これだけは認めざるを得なかったという……。まあ種後半から種Dにかけては多少……治ったのかな?(ぉ
 とにかく、アスラン→キラは友情はもちろんありますが、それ以上にあると思われるのは……おそらく『保護欲』。多分アスランにとって、キラは保護……というか庇ってあげなければならない、という強迫観念にも似たものを刺激する存在だったんじゃないかと思います。再三再四、ザフトに来い、というのはいいですが、戦闘中にMSごと抱えて攫おうとする(この時はまだ普通だと思いたかった)わ、「次に会うときはお前を撃つ」などといいながら、すぐキラのことを心配し(ラクスにあっさり察せられてるし)、ニコルが殺されてブチ切れてキラを殺した(と思った)ら今度はそれを悔いてますが……あの様子は友人を殺ったというより、殺ってはならないものを殺って後悔してるようにしか……。
 いえ、私も実はぎりぎりまで友情だと思いたかったのですが。
 オーブでアスランがアークエンジェルに合流した時、ディアッカに話しかけられ「ディアッカ!?」とその時初めて見たように言ったときにその認識を改めざるを得ませんでした……こいつはホントにキラしか見えてなかった、と。その前の話ですぐ横にディアッカはいたはずなのに。キラを殺した戦闘で、ディアッカもず〜っとMIA(戦死に等しい行方不明)扱いだったわけで、そしてアスランにとってはザラ隊の一人であり大切な仲間だったはずなのに、です。この扱いの差は一体……。キラはトールを殺したアスランを許してますが、これはキラにとって戦わなければならない相手がトールを殺した、アスランを恨んでも仕方ない、と言って許してます。これはミリアリアが代弁してくれてますし。しかしアスランは、どー考えても『キラだから』許したようにしか見えません。ニコルも浮かばれませんな……(マテ)
 さすがに終盤になって、キラを支える人間は自分じゃないっていうか実はキラがとっくにひとり立ちしてることに……ちょっとは気付いたのか、ラクスに任せるようになって来てますが。『キラ離れ』が出来てきたってことでしょうか(爆)。種D見る限りでは、一応キラ離れできていると思い……たい(汗)
 要するにアスランにとって、キラは友人というより弟みたいな存在……あ、カガリと結婚したらホントに義弟か。……よく同人系サイトとかでそれが狙いと言われてますが、あながちまったく外れていないんじゃないかと思えてしまうのが……。いや、多分カガリに惹かれたのは間違いないでしょうが、カガリの弟(兄?)がキラだというのは、彼にとっては嬉しいと思える結果だった可能性は……否定できません(苦笑)
 もっとも、当のキラは前述のような状態ですから、気にもしないと思いますが(酷)。種D(第10話まで)を見る限り、彼はラクス及び自分の周りにいる者に直接の危害が及ばない限り、多分動かないでしょう。例外があるとしてカガリくらいか? アスランについては、そういう意味でも『自分で何とかしてくる』と信頼してる……でしょうが、あるいはあの弱音を吐いたアスランを、心配はしてるかもですね。……種と立場が逆だな……しかもアスランはいっぱいいっぱいでキラキラ言ってたけど、キラは他と一緒に面倒見れるだけの余裕を持っていそうな気がします。どっかのレビューにもありましたが、キラ、存在感ありすぎです。1分出てくるだけで主役かっさらっていってますから……。

 というわけでてきとーに語ってみました。とりあえず、アスラン→キラだけは完全に腐女子にカモにされるためにあったというのは認めざるを得ないと思えます……。普通同年代の友人に対して『保護』という感情は持ちません……。ただ、他は男性の視点で見たら、それほどおかしいことじゃないよなあ、と。そういうことが言いたかっただけです(^^;

<ちょっと追記>  追加してちょろっと。テニスの王子様ですが。あれはホントに普通に友情物語じゃないかと思うのは私だけですか? いや、性格が中学生じゃないですが……つか、高校生だったらまだマシかなあ、とか。違うのかな?
 あと『ここはグリーンウッド』なんてのもあるか。……あれは、あからさまにそう描かれていた二人組(誰かは言うまい……)以外、ホントに見てて気持ちいい友達関係だったと思うのですが……ねぇ。あちこち見る限り、違うっぽい。これが男性と女性の視点の違いなのか、ホントに不思議だなあ、としみじみ思います。


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