壮麗なる宮殿は、そのままその国威を感じさせた。その壮麗な宮殿の回廊を、老侍従に案内されて女性が三人、歩いていた。一人は少女、と表した方が適切だろう。見た目、七、八歳の少女だ。赤紫色の髪を、きれいに結い上げている。もう一人は、二十歳前の、薄い紫に近い髪の女性、最後の一人は赤と青の色違いの瞳に、銀色の髪が美しい、十代半ば過ぎの女性だ。三人とも、暗色のローブを纏っているが、決してそれで暗い印象を与えることはない。 三人は、その老侍従に案内されて、その広大な宮殿の中でも、特に奥まった部屋を目指していた。 やがて、その廊下の突き当たる位置に、やや大きな一つの扉が見え、彼らの姿を確認するとその扉の両側に立っていた兵の一人が、部屋へと入っていく。その兵は、彼らが扉の前に来るまでに再び外に出てきていて、そしてそのまま扉を開け放った。 「すでにお待ちでいらっしゃいます。どうぞ、中へ」 その言葉に老侍従は小さく頷き、女性三人を促した。 「どうぞ。どうやら、待ちきれなかったようですから」 薄紫の髪の女性が小さく笑んで、それから三人の兵に軽く会釈をし、二人がそれに倣う。 「ありがとう、アレンさん」 アレン、と呼ばれた老侍従はにっこりと笑み、その姿を見送ると兵に扉を閉じさせ、自分は来た道を戻り始める。 と、向こうからやや小走りに駆けてくる若い男性の姿が見えた。それを見て、彼は苦笑しつつ、それでも顔が見える位置に来るとしかめ面を作り出す。 「陛下。随従の者もつけずにまた宮殿を走られて。いつも私が言っているでしょう」 「ああ、すまない、アレン。ただおじい様にちょっと用があるんだけど……客人かい?」 「ええ。申し訳ありませんが、後程にして頂けますか。今日の客人は、特別なので」 陛下、と呼ばれた青年は、やや複雑そうな顔になるが、それでもアレンの言うことは信用しているのだろう。得心した顔になる。 「分かった。後にすることにしよう。しかし、おじい様にあんな若い方の客人は珍しいね」 そういいながら、アレンと二人、元来た道を今度はゆっくりと歩いていく。 「ご覧になられたのですか」 「中庭を歩いているのを偶然、ね。結構美人かな、とも思ったけど」 「……ああ見えられて、陛下よりよほど年上の方かもしれませんよ、実は」 その言葉に、彼は目を白黒させた。 「知らなかった。アレン、お前でも冗談を言うことがあるんだね。まあいいか。先日の大雨で、ラウス地方の水害による被害が深刻でね。おじい様にも意見をお聞きしようと思ったんだけど……」 そういって破顔すると、彼はアレンの正面に回る。 「アレンにも頭を悩ませてもらうよ。実際、これで今本当に忙しいんだから」 「分かりました。ですが、老体にはもう少し気を遣っていただきたいところでもありますがね」 「だったらアレン、少しは老人らしくおとなしくしてくれ。騎士団の連中が、未だにアレンのしごきを恐れてるのは、ただ伝聞で聞いているからだけじゃないと思うぞ」 そうは言ったが、それが本気ではないことは、顔を見れば明らかだった。 |
「お久しぶりです、ロイ様、リリーナ様」 部屋に入った女性は、部屋の主に深々と挨拶をし、それから勧められた椅子に腰掛ける。 「本当に久しぶりだね。最後に会ったのは……三十年ほど前だったかな?」 ロイ、と呼ばれた男性――年齢は五十を少し越えたところか――は懐かしむように呟くと、改めてほとんど変わっていない三人の客人を見やった。 「そうですね。そのくらいになると思います」 「ソフィーヤ達は、少ししか変わってないのに、私たちはすっかり年を取ってしまったものね」 ロイの横にいる、やはり同年代の女性が、そういいながら優しそうな笑みを漏らす。 「今でもお若いですよ、リリーナ様も」 「おだてても何もでないわよ」 そういって、くすくすと笑うその顔――というより雰囲気は、最初に挨拶した女性――ソフィーヤの記憶するものと、寸分違わぬものだった。いや、年齢を重ねたからだろうか。より優しく、そして温かみを感じさせた。 「でも、ファは少し大きくなったね。さすがに」 ロイは、三人のうち一番幼い少女をみやった。見た目の頃なら、七、八歳。だが、彼女が見た目より遥かに年齢を重ねていることを、彼は知っている。 「うん。本当に少しだけだけど。ソフィーヤお姉ちゃんの方がどんどんきれいになるから、ファ、不公平だと思うけど。早くイドゥンお姉ちゃんみたいになりたい」 そこでロイは、三人目の女性を見やった。 最後に会ったのは三十年前。その時は確実な回復の兆しが見えていたとはいえ、まだ心を失ったような存在だった少女。神竜でありながら、竜達のため、戦いのために『魔竜』と変じられ、心を奪われた竜の少女。しかし、今の彼女の表情や仕種には、もうその影は見えない。 「いつかなれますよ、ファ。そう急がなくてもね」 「う〜」 「そうそう。ファは今でも、十分可愛いんだから」 ロイがそういって慰めるが、やはり効果はあまりなかった。 もっとも、ファからしてみたら、格段に年を取ってしまったロイを見ると、さすがに年月を感じずにはいられないのだろう。 「ナバタの里は、変わりない? 突然訪問してきたから少し驚いたんだけど……」 その言葉に、三人は一様に少しだけ沈んだ表情になる。 「イグレーヌさんが……先日、お亡くなりになりました。今日は、それをご報告に上がったんです」 その言葉に、ロイとリリーナは、一瞬驚き、それから目を伏せ、小さく祈る。 「そうか……もうお年だったから?」 「……はい。とても安らかな……お顔でした」 微かに、ソフィーヤの目尻に涙が浮く。 イグレーヌは、神竜の隠れ里であるナバタの里の守護者であり、優秀な戦士でもある。かつてのベルン動乱では、その最後の戦いにおいて、神将器の一つミュルグレを操るほどの弓の使い手だった。だが、それほどの戦士であっても、やはり老いには勝てなかったということか。しかし、その最後が安らかであったというのが、ロイ達にとってはどこか嬉しくも思えた。。きっと、ソフィーヤやファ、イドゥンらに見守られながら、静かに息を引き取ったのだろう。 「もう、あの戦いから四十年だからね……いつ、そういう話があったっておかしくはない……」 イドゥンはその言葉に、表情を曇らせる。 「それでも私たちは……永い生を過ごさなければならないのですね……」 竜族である彼女ら――ソフィーヤは半分だけ竜族のようだが――の寿命は、人間のそれとは比較にならない。ファですら、すでに数百年の時を過ごしているのだ。 「それは仕方ないよ。でも、君たちがいる、ということは、私にとっても安心できることでもあるんだ」 「安心……ですか?」 ソフィーヤとイドゥンが同時に顔を見合わせる。 「うん。世界は変わり続ける。でも、君たちはいつまでもいるだろう。変わり続ける世界で、変わらない何かがある。最近、それがとても安心できるものかもしれない、と思えてね」 ロイの言葉に、傍らのリリーナが微笑んだ。 「まあ、私が年を取ったからこう感じるのかもしれないけど。でも、もうあの時のような若さは、ないよ」 「現国王陛下を、遠目に拝見致しました。一瞬、ロイ様御本人かと思いました。お顔も、その雰囲気も」 「え。私、昔あんな感じだったの?」 「今更とぼけてどうするの。ロイ、即位までは本当に見ていて危なっかしかったんだから」 妻の容赦のない言葉に、ロイは閉口するしかなかった。 「ロイ様のお孫が、今や大陸五大国の一つ、リキア王国の国王様ですからね」 イドゥンが、茶かす。 「ここまで、長かったけどね」 現在、エレブ大陸はほぼ五つの王国によって分割された状態にある。 かつての二大大国エトルリアと、ベルン。それに、現国王の即位によって誕生した、リキア統一国家リキア王国。それに、先のベルン動乱における神将の子によって統合されたサカ連合と、イリア騎士連合。 このうち、リキア王国の成立は、ロイの父エリウッドと、そしてリリーナの父ヘクトルの悲願でもあった。 ロイとリリーナの婚姻によって、まずオスティアとフェレの二つが合併、その後、ロイ、さらにその子の代で勢力を広げ、ついにロイの孫がリキア王国の国王として即位することになったのである。それから、三年。五大国によって統治された大陸は、戦乱もなく落ち着いた情勢となっている。 「本当に、あれから色々あったよ。でも、あの戦いを乗り越えられたのだから、という想いが、ここまで来させてくれた気がする。それに、何より平和な世界を、君達に――特に、イドゥンに見せたかった」 その言葉に、イドゥンが驚いて目を白黒させる。 「わ、私に、ですか?」 「うん。千年以上もの間、君は暗いところで眠り続けた。そして、眠りから醒めても、なおも戦うことを強制されてしまった。そして多分、君自身、平和な時代や暮らしなんて、ほとんど記憶していないと思う」 「……」 「いくら竜族でも、千年というのは決して短い年月じゃないと思う。正直、それを取り返せるだけ長い間を平和が続く、と保証は出来ないけど……イドゥン?」 イドゥンは、ぽろぽろと涙を流していた。 「あ、大丈夫です。ただ、嬉しくて……本当に、ありがとうございます、ロイ様。あの時、私を救って下さって」 「私は私の想いのままに、封印の剣を振るっただけだよ。その結果があれだったのなら、それは私と、そして君を『あわれ』と思った英雄ハルトムートの想いが成し遂げた奇跡だ、と私は思う」 あの、最後の戦い。 ロイは、イドゥンを倒したくない、と思った。多分、かつての英雄ハルトムートも同じ想いだったのだろう。そして、彼の想いに封印の剣は応え、魔竜イドゥンを眠りに就かせた。 しかし、ロイはそれでは駄目だ、とも思っていた。それではいつかまた、ゼフィールのように、あるいは己の野心に溺れた愚かな者が、再び魔竜の力を利用しようとするかもしれない。それでは、意味がない。 だからロイは願い、そして強く想ったのだ。 イドゥンを『救いたい』と。 そして奇跡は起きた。 ロイの想いに応えた封印の剣は、魔竜と化したイドゥンを斬り裂いた。そう。魔竜だけを斬り裂いたのである。残ったのは、神竜のイドゥンだけ。それが、封印の剣の本当の力だった、とロイは思っている。魔竜は、永遠に『封印』されたのだ。 「多分、この後何百年も……平和な時が続く、なんて保証は私には出来ない。正直に言うなら、多分無理だと思う」 ロイの表情が翳る。 人の歴史は、戦いの歴史でもある。ゼフィールが呪った『人』は、竜と違い互いに相争う。無論、ロイはそのようなことはしない。だが、この先何百年も先のことを、定命たるロイら人間には保証できるはずもない。 「ただそれでも、君達は平和に過ごして欲しい。もう二度と、戦いに利用されることなんてないように。そのために、ナバタの里に関する資料は、全て破棄させた。まあ、吟遊詩人達が謡う内容までは、止められないけどね」 ナバタの里に関する記録の全てを、ロイは公式、非公式を問わず破棄させた。また、ベルン、エトルリア、サカ、イリアにも同様の依頼をし、四国――当時は二国二地方だが――とも資料の処分は約束してくれている。これで、公式にはナバタの里、というのは存在すらしないことになる。 「ありがとう……ございます」 「いや、礼を言われるようなことでもないから」 ロイとしては、その実はこの処置には一抹の後ろめたさも感じなくはない。 事実上、世界から彼らを抹殺してしまう行為に他ならないのだ。世間から隔離され、忘れ去れることへの恐怖を、ロイは感じずにはいられなかった。だがこれは、ナバタの里に住む者達――竜の血を継ぐ者達は、やはり感じ方が違うらしい。 「ナバタの里が見つからなくても、こうやって外に遊びには行けるから」 ファが明るく言う。確かに、その通りだ。彼女らは、見た目には人と変わりない。人の血が半分混じっているといわれるソフィーヤはもちろん、ファやイドゥンにしたところで、人間と違うのは若干形の変わった耳くらいで、それも髪に隠れてしまえば分からない。かつては、ファは竜族としての力の一端である翼を、上手く制御できずにいたが、今は迂闊に人前で見せてしまうようなことは、ない。 彼女らが街を歩いていたところで、人が彼女らが竜族であるとは気付くことはないだろう。何より、公式には竜族は全て滅んだことにされているのだから。 いや、遠からず竜は滅びていくのかもしれない。 竜族といえど、永遠の時を生きるわけではない。人とは比較にならないほどに永い時を歩む種族ではあるが、無限の寿命を持つわけではないのだ。それに、これはかつてナバタの里の長老に聞いたが、竜族の寿命も、人の姿をとるようになってから短くなったように思う、というのだ。最もそれで数千年の時を過ごす種族ではあるのだが。 だが、竜族には既に、雄体がいない。つまり、ファやイドゥンらが最後の純血の竜族ということになる。気が遠くなるほどの遥かな未来、竜族の血すら薄れ、竜族は人と同化しているのかもしれない。 いや、その頃に人がまだいる、という保証もないだろう。人とて、永久に滅びないはずなどないのだ。 「まあ、私には分からない話か」 「ロイ?」 一人勝手に結論付けて一人ごちたのが、声に出たらしい。リリーナが隣で、首を傾げている。 「いや、なんでもないよ、リリーナ。そういえば、あれは大丈夫だよね?」 「あ、はい。ファとイドゥンの力、それに私の術で封じてありますから……破る力は、あの中にしかありません」 「それは良かった。あれらを一個所に集めることに、不安がなかったわけじゃないんだけど、でも、あそこ以上に適切な安置場所が、思い浮かばなくてね」 ソフィーヤはにこ、と笑うと、もう一度「大丈夫ですよ」と言う。 ベルン動乱後、ロイは封印の剣とすべての神将器を、ナバタの里に封印した。これは、ロイが完全に独断で行ったことだ。というのも、わずかでも記録が残ることを恐れたからだ。知っているのは、ナバタの里にいる者達、そしてロイとリリーナだけである。アレンらですら、神将器は全て破壊されたと思っているのだ。 本当は、ロイは破壊するつもりだった。だが、破壊した時に溢れ出す力を、ソフィーヤが懸念したのである。たとえかつてほどの力を失っているとはいえ、それでもなお、強大な力が神将器には宿っているからだ。 そこでロイは、エッケザックスを含めた九つの神将器と封印の剣を、全てナバタの里に封印することにした。封印の力は、ファとイドゥンが持つ神竜の力。そして、封印を施すのもまた、ソフィーヤの、すなわち神竜の術。これらを打ち破ることは、現在の人間には到底不可能だ。 それもあって、ロイはナバタの里を記録の上から抹消したのである。ベルン動乱から四十年。既にナバタの里の名は、吟遊詩人が詠うサーガの中にしか登場しない。特に神竜のファの存在など、早くも疑問視されているほどだ。 「ずいぶん時が流れたからね。あと五十年もしたら、もう誰も、君達のことを知る者はいなくなると思う……」 少しだけ、彼女らの表情が翳る。実際、残酷な現実だと思う。自分達を覚えてくれている者がいなくなる、ということ。人間とは比較にならないほど永い寿命を持つ彼女らには、それは逃れ得ぬ事実であるとしても。 「でも……私たちは記憶し続けます。ロイ様が、リリーナ様が、そしてギネヴィア様や皆様がいた、この時代を」 ソフィーヤが、決意を表すように、一つ一つの言葉を噛み締めて呟く。 「それから……あの、ゼフィール様のことも」 ソフィーヤの言葉を、イドゥンが引き継いだ。 五人の間に、静寂が訪れる。 ゼフィールの名は、今の大陸では悪逆非道な侵略者としての烙印を捺された存在である。しかし、ロイは、彼が自分自身にすら絶望するまでに至った理由を、知っている。 無論、彼の言う『解放』が、彼の弱さが導いた結論だ、と今でも思っている。彼は、自分自身をも信じることが出来なかったのだ。それが、自分を含めた人の世界の全てへの憎しみにつながったのだろう。彼のやったことは許容できることではなかったが、だが、彼自身には同情の余地はある。あるいは、彼が別の国に、たとえばリキアのどこか一地方に生まれていたとしたら。きっと彼は、その国をこれ以上ないほど富ませ、もしかしたらリキア王国は彼の手で作られていたかもしれない。生まれの不幸を呪っても仕方がないとしても、そのような可能性を考えずにはいられない。 ただ、彼がイドゥンを、魔竜を蘇らせてくれたおかげで、イドゥンは千年の呪から解き放たれた。全てが偶然か、あるいは運命に導かれたのか。それは、この年になっても分からない。 「ファ、お腹すいた」 突然、ファの言葉が静寂を破った。 ふと気付くと、いつのまにか陽は大きく西に傾いている。ずいぶん、時間が経っていたらしい。 「この後は、どうするの?」 「せっかくですから、しばらくは人の世界を歩いてみようと思います。数十年ぶりですし」 「分かった。通行証を出すように頼んでおくよ。私に出来るのは、もうそのくらいだからね」 「……すみません、ありがとうございます」 「今日は、王宮に泊っていけるわよね?」 「あの、でも……」 一介の旅人として来訪している自分達が、そもそも既に引退した国王に面会するのも、かなり気が引けたのだ。ただ、イグレーヌのことなどもあり、無理に衛兵にお願いしたのだ。とりあえずロイは、かつての仲間の家族、ということで他の者を納得させたらしい。 「大丈夫。引退した私たちの道楽なら、たいてい大目に見てもらえる。それに、何といっても三十年ぶりなんだ。まだ話し足りないことばかりだよ」 ソフィーヤは、少し考えた後、二人を振り返ってから「はい」と返事をした。ロイはそれを受けて、にっこりと笑い、リリーナが部屋の前に控えている兵に、客人のもてなしの準備を手配するように言う。 ソフィーヤとリリーナが話に興じ、ファもロイとなにやら話をしているので、イドゥンは一言断ってから、露台へと出てみた。 まだ春になったばかりであり、夕刻のこの時間の風は、どこか冷たく、だが、ナバタの里の風とは違う、清々しさを感じさせてくれる。 「でも……あの時感じた風とは、違う……」 まだ、魔竜であったとき。意識が覚醒するまで、ゼフィールは自分をベルン王宮の一室に住まわせた。そこは、ここ以上に眺めがよく、また風も気持ちよかったはずなのに、今の風の方が、何倍も気持ちがいいように思う。 これが、世界が変わったということなのかもしれない。 「いつまでもこの風が、変わらなければ、きっと……」 遥かな記憶にある、まだ人と竜が争い始めるよりも前。その時代が、いつかやってくるかもしれない。そして、自分は多分その時まで生きていることが出来るだろう。また愚かな戦いがあるかもしれない。けど、人は後退をしつつも、少しずつ前に進むことが出来る、とイドゥンは信じることが出来た。かつて、ハルトムートが出来なかったことを、ロイが出来たように。いつか、ロイでも出来なかったことを、後の誰かがやってくれる。それを、見届けられるとすれば、この永い生には、感謝したい。 もう一度、風を感じてみる。 そこには、確かに未来への希望を感じさせる何かを、イドゥンは視ることが出来たように思えた。 |
はい。封印の剣創作第一弾。第一弾ということは第二弾があるのか、といえばネタはあります……がいつ書くかは不明。っていうか会話集欲しいよう。誰か同人誌で作らないかな(どこまで他力本願寺・死) まあ作中でもありますが、思いっきりあとの話です。ロイの相手は当然リリーナ。っていうかこれはデフォルトでしょうし。ちなみにソフィーヤは大体15年くらいでで人の1年分、年齢を重ねる、という計算にしました。かなり適当ですけどね。なので見た目は、ソフィーヤは18歳くらいになってます。ファはほとんど変わらず。イドゥンもまったく変わってないでしょうね。まあなんせ、紋章の謎のチキにしたところで、あれで7000年生きてるわけですからねえ(^^; さて。 この話、一番書きたかったのは実はイドゥンだったりします。あの最後の戦いで、ロイが何をしたのか、というか。というわけでこれが私なりの解釈です。個人的にはかなり納得いっていたり。魔竜が倒されたあとにイドゥンだけ残ったってあたりが特に。まあ……たかが40年程度で彼女が元にもどるのか、というのはありますが……。ま、その辺はご愛嬌(^^; また、リキア国王はロイの孫です。ロイの子供は、というとこっちも生きてるとは思います。要するに、ロイの子が、多分リキアのどっかの有力領主の娘と結婚して、それでその子が統一国家の国王に、というパターンです。だから多分ロイの子は今も国王を補佐しているんでしょう。で、現国王はおじいちゃんっ子……(笑) それ以外の国ですが、エトルリアはその内ミルディンが戻ってくれば問題なし。王妃は……まあ有力貴族の娘とかでしょうか。セシリアって可能性もなくもない気がしますが。ベルンは当然、ギネヴィアが、こっちはほぼ確実に有力貴族の婿を迎えて、あとはその子が継承していってるんでしょう。で、残るサカですが……ひそか〜にルトガーの子供〜とか考えていたり(爆)。相手?にゃふふ(ぉ。イリアは騎士団連合なので、特定の国王はいません。まあどっかにゼロットやユーノの子か孫や、ディークとシャニーの子とかがいる気がしますが(^^; この辺の恋人組み合わせは、まあコンテンツのほうで(^^; それにしてもこの話……続編とかあるのかなあ。紋章の謎みたいに。あったら破綻しそうだ……(汗) |
written by Noran |