強大な風の一撃が、陣形を文字通り引き裂いた。その風の一撃を合図に、騎馬兵が突撃をかける。それは、体勢を立て直そうとした軍列に、容赦なく襲いかかった。剣と剣、槍と槍、斧と斧。あるいは魔法。それらが飛び交い、また一瞬ごとに「死」が生産されていく。しかし、勝負はほぼ、最初の一撃で決していた。城の周囲を守る陣は突破され、旧グランベルの紋章を記した旗を掲げた軍隊が、城壁に肉薄した。
城門は、当然堅く閉ざされている。まるで、その城の持ち主の力、聖斧スワンチカを誇示するかのような、巨大な鉄の扉。先頭に立っていた騎士は、光り輝くその剣を振りかざし、扉を斬りつけた。凄まじい音とともに、扉に大きな傷がつく。
だが、扉を破るまでには至らなかった。
「セリス皇子!! 下がって!!」
騎士はその声を聞くと、反射的に扉から離れる。空中から、鮮やかに舞い下りた赤い鎧の女騎士は、扉の前で、巨大な槍を振りかざした。
ドン、という、まるで地を揺るがすような音と共に、その鉄の扉は粉々に打ち砕かれた。セリス、と呼ばれた騎士は、素早く馬に飛び乗り、扉を破壊してくれた騎士に、ここを頼む、と伝えると城内へ駆けていく。その後を、いくつかの人馬が続いた。その扉を破壊した騎士――アルテナは、もう一度みずからの愛竜に飛び乗ると、再び空中の人となる。彼女の振るう槍、神器地槍ゲイボルグから放たれる衝撃は、一撃ごとに数十の兵士を薙ぎ払っていく。慌てた兵士達が、弓で攻撃しようとしたとき、再びあの風が兵士達に襲いかかる。弓兵は、一瞬で全滅していた。
「セティ殿、感謝する!!」
アルテナは、風を放った魔術師の上空を回ると、彼の背後に迫っていた騎兵に突撃した。
彼らでは、地槍を持つ竜騎士に抗う術はなく、風の魔法を操る賢者にも、近づくことすらできない。そしてそこへ、解放軍の兵が突撃をかける。城内と城外の戦力は分断され、すでに統率を欠いている。
しかしそれでも、解放軍には余裕があるわけではない。今回、解放軍は戦力を二分しているのだ。数的不利は、そう簡単に補えるものではない。まして、まだ城内にはかなりの数の兵が残っているはずである。城外の敵を一掃し、一刻も早く城へ突入した部隊の援護に行かなければならないのだ。
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城内の兵士は、戦える場所が狭いため、一度に戦う必要のある人数こそ少なかったが、強敵であった。しかしそれでも、セリスの敵ではない。馬を下りたセリスは、主将を求めて城内へと突入した。途中、一体何人を斬ったのか分からない。気がつくと、自分とあと一人だけになっていた。
「ラクチェ、相変わらずだね。いつも私がいるところに来ている」
するとラクチェは、さも当然、という顔になる。
「当たり前でしょう。セリスは私の、いえ私達にとってかけがえのない人。万に一つのことでもあったりしたら、大変」
「信用ないなあ」
セリスは苦笑する。そうしている間に、広間で、二人は10人ほどに囲まれていた。しかし、彼らの目に追いつめられたという焦燥はない。
「ラクチェ、後ろ4人、任せたよ」
ラクチェは静かにうなずく。その言葉が聞こえたかどうかはともかく、敵兵は意味不明の雄叫びを上げて突っ込んできた。だが、それが最期の言葉となる。
輝いた光は三色。翡翠色の光が流れたかと思うと、敵兵のうち、3人はすでにその命を失っていた。残る一人、重甲冑を来ていたために初動の遅かった兵士は、その甲冑ごと袈裟状に斬られ、何が起きたか分からないうちに絶命する。彼の目に、最期に焼き付いたのは、青白い燐光だった。
残る兵士達は、セリスに近づくことなく終わった。セリスがただ一振り、その手に持つ剣を振るい、その生じた光と衝撃波だけで吹き飛ばされたのである。息はかろうじてあるが、もはや戦うことなどできまい。
ふぅ、と一息つくと、セリスはラクチェの方を振り返り……視界の端に今まさに魔法を放とうとする敵兵の姿を発見した。
「ラクチェ!!」
セリスが走り出すのと、魔法が放たれるのは同時だった。セリスは、ラクチェの前に立ちふさがる。その眼前に、闇そのものが迫ってきていた。
暗黒魔法ヨツムンガンド。風・雷・炎の最上級魔法に匹敵する、強力な闇に属する攻撃魔法である。相手は、セリスが倒れることを疑わなかった。だが。
「はあ!!!」
セリスが剣をかざすと、その前に光の壁が出現する。それと、闇がぶつかり合ったとき、闇は光に飲み込まれるように消滅した。魔道士の表情が驚愕から絶望へと、まるで連続絵を見るように変わっていく。そこへ、ラクチェが飛び込んだ。
魔道士に、避ける術はなかった。
「セリス、怪我は?」
ラクチェは慌ててセリスを振り返る。
「大丈夫。ラクチェのおかげだ、ありがとう」
セリスは落ち着いて答える。実際、かすり傷一つない。あの程度の魔力では、セリスが持つ聖剣ティルフィングの守りを貫くことなど、出来はしないのだ。
「それより行こう、ラクチェ。主将を倒さないと、この戦いは終わらない」
セリスはそういって走り出す。ラクチェが、すぐ後から続いた。
数に劣る解放軍が勝つには、主将を倒し、士気をくじく必要がある。それでどうにか、互角というところなのだ。
しかも今回、解放軍は二正面作戦を強いられた。シアルフィから、エッダとドズルを同時に攻撃したのだ。本来、ただでさえ数に劣る解放軍が、戦力を二分するなどもってのほかだが、今回は、そうせざるを得なかったのだ。
解放軍が帝国軍より有利なことは、神器の数が多いことである。聖剣ティルフィング、魔剣ミストルティン、神剣バルムンク、地槍ゲイボルグ、聖弓イチイバル、風の神魔法フォルセティ、そして聖杖バルキリー。この戦力は、各自が百騎に相当するのだ。それゆえに、なんとかできた作戦でもある。
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主将のいる場所の見当はついていた。お約束だが、こういうものは大抵玉座にいるものである。
せこせこと逃げ出すものもいるのだが、今回の相手は、暗黒教団の司祭だという。逃げ出すのは考えにくい。彼らはそれならば、自爆的な行動をとることが多いのだ。
何回か階段を駆け上がり、幾人もの敵兵を斬った二人は、おそらく玉座の間だろう、という場所への扉の前まで来た。ラクチェが、迷うことなくその扉を守る兵士に斬りかかった。まるで、剣舞でも見ているかのような美しい軌跡に、赤い、血の跡が続く。ラクチェは、いきなりその返す剣に青白い光を込めると、そのまま扉を斬り裂いた。樫の木で作られた頑丈な扉は、まるで紙でも斬るようにあっさりと寸断され、崩れ落ちる。
セリスは一瞬、その行動に驚きはしたが、すぐ部屋の中に駆け込んだ。いるのは、一人だけ。
闇を絞り出したような色のローブを身に纏った司祭が、玉座からゆっくりと立ち上がった。
「お前がダゴンか。すでにドズル公ブリアンは倒れた。これ以上の戦闘は無駄だ。降伏しろ」
セリスは聖剣の切っ先を司祭に向けたまま言う。無駄だというのは、分かってはいるのだが、言わずにはいられない。
あるいは、結局これもただの自己満足なのかもしれない。
「くっくっく……愚かな……ブリアンなどはじめから我らの駒に過ぎぬ。栄光ある、我らロプト帝国の再興の、力となれただけでも感謝するであろう」
セリスは聖剣をおろした。その肩が、小さく震えている。
「私が、お前達を許せないのは、己のために、平気で人を犠牲にするところだ。確かに、ロプト教団は不当とも思えるほどの迫害を受けていた。だけど、だとしてもお前達のやっていることは、許すことはできない。お前達は、人々を平気で犠牲にし、しかもそれが当然だと思っている。永きに渡って、不当に扱われることの苦しみを知っているはずなのに!!」
幼いころからずっと付き合っていても、ラクチェはいつもセリスに驚かされる。これほど激しい感情を、セリスが顕わにするのは、滅多にない。
「愚か者が!!神に仕える我らが、愚民どもと同等だと思ったか!!」
ダゴンは同時に暗黒を放った。見るだけで恐怖を感じずにはいられない、闇の魔法。
だが、セリスは一歩もその場を動かない。
「セリス……!!」
ラクチェの声に反応したのか、セリスはにこりと微笑んだ。一瞬、ここが戦場であることすら忘れそうになる。その時、闇がセリスに炸裂した。
「ふははははは、殺した、殺したぞ。光の皇子などとおだてられたところで、我が神に与えられし力には……」
ダゴンの狂ったような勝利の声は、中断された。まだセリスのいた場所にくすぶっていた闇に、一筋の光が走り、そこから闇を侵食し、全てを消し去ってしまう。そこに立っているのは、まばゆいばかりの光に包まれたセリスであった。
「ば、馬鹿な……」
「お前達に、死後もなおロプトウスと話す力がある、というのであれば伝えておけ。私達は必ず、お前を倒す、と」
聖剣が振るわれた。溢れ出した光は、全てを浄化するかのごとく、闇を包み込んだ。
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宮殿の北側、最上階にあるバルコニーは、恐らく本来は公家専用のものなのだろう。贅を尽くした装飾は、いささか趣味が悪いとも言えなくはない。
「セリス、ここにいたのね」
呼びかけられた解放軍の盟主は、ちょっと後ろを振り返ると、また視線を戻した。
見つめる先は、遥か北東。その方角に、バーハラがあるはずである。魔皇子ユリウスと、そして恐らくはユリアの囚われている場所。
吹き抜けた風が、セリスの解いた髪の毛を揺らし、すぐ後ろまで来ていたラクチェの顔にかかった。ちょっとくすぐったくて、思わず半歩引いてしまう。
「どうしたの、ラクチェ。眠れないの?」
セリスは視線を動かさないまま聞いた。ラクチェはセリスの隣まで行くと、自分もセリスと同じ方向を見つめた。
「もうすぐ、バーハラね」
旅の、いや、戦いの目的地。そして、セリスの父シグルド、ラクチェの両親の死んだ地でもある。
「そうは言っても、すんなりとは行けないけどね。まっすぐ行けたら楽なんだけど」
ドズルとバーハラは、距離的にはかなり近い。最速を誇る竜騎士であれば、丸一日飛びつづければ行くことができる距離だ。しかし、馬で行くことはできない。『天の階(きざはし)』と呼ばれる断崖があるのだ。その巨大な断崖にも、もちろん道はある。ただ、細くて大軍を通すことはできないし、また、その上で待ち伏せされて、落石などで攻撃されてはたまったものではない。だから解放軍は、大きく迂回することになるがドズルから、西の山脈のさらに西を迂回し、フリージを攻めて、そこからバーハラを臨むことにした。現在は、エッダへ攻撃に向かった軍との合流のために待機しているのである。
「向こうも無事終わったらしい。ま、シャナンとアレスの二人が行ったからね。大丈夫だとは思ったけど」
エッダの軍が合流するまで、約5日。わずかな間、休息を取ることができる。
情報では、フリージはすでにゲルプリッターの配置を始めているらしい。フリージ家の誇る、雷魔法を得意とした魔法騎士達の部隊。だけど、負けるわけには行かない。セリス達には、もうただの一度の敗北も許されないのだ。
「セリス、怖いの?」
ラクチェの突然の言葉に、セリスは目を白黒させた。それがおかしかったのか、ラクチェはクスクスと笑う。
「だってなんか、難しい顔しているんだもの。セリスがそういう顔する時って、大抵難しいこと考えて、それでその結果が良くないと思っている。で、今だとこの戦争のこと。セリス、優しいからもう誰も死なせたくない、って思っているんでしょう」
セリスは、かなわないな、と言って笑った。
「……半分、あたりかな。確かに、誰も死なせたくはないよ、私は。だけど、誰かを犠牲にしても前に進む覚悟は、ティルナノグで兵を挙げたときに……いや、あのときはまだなかったな。けど、今はもうその覚悟はある。私達の戦いは、多くの人達の想いを受け、そして屍を乗り越えてここまできた。今更ここで、立ち止まることは許されない」
確かな決意。例えこの先に何が待っていても、決して迷うことは許されないのだ。
「ユリア、心配?」
ラクチェのいきなりの言葉に、セリスはびっくりした。
「さっき、レヴィンさんに聞いたわ。ユリアが、いや、私達の敵であるユリウスもまた、あなたの……」
「そっか、聞いたんだ」
セリスは再び視線を外に向けた。バーハラのある方角を見つめている。
「私も驚いたけどね。ただ、それでユリアに初めて会ったときのあの感覚の理由が分かったよ。本能的に妹だって分かっていたんだなあ」
「私も、驚いたわ。さっきスカサハに話したら、スカサハもびっくりしていた」
ラクチェは、何かを思い出すようにクスクスと笑っている。セリスが、どうしたの、と聞くと、ラクチェはまだ笑いを止めないまま、スカサハに話したときのことを説明した。
「スカサハ、ホントにびっくりしてね。だってそうなるとユリアはセリスの妹で、グランベルの皇女でしょう?『俺じゃ、身分が違うじゃないか』って。すっかりうろたえちゃって」
それを聞いて、セリスも笑い出す。
「スカサハだったら安心してユリアを任せられると思うんだけどなあ、兄としては」
風が少し冷たくなってきたのか、ラクチェは肩を押さえた。それに気がついたのか、セリスは自分のマントを外して、ラクチェの肩にかける。
「あ、ありがとう」
「正直、ユリアが妹だと聞いたときは、驚いたけど、同時に嬉しかったよ。私は、一人っ子だと思っていたからね。いつも、ラクチェ達やレスター達がうらやましかった」
「私達が?」
ラクチェは、ちょっと驚いて尋ねた。セリスは、うん、とうなずく。
「もちろん今まで、寂しいと思ったことはないよ。ティルナノグでの生活は大変だったけど、でもみんながいてくれた。けど、特別な存在――妹や兄がいるというのは、なんかどんなときでも一人じゃないんだ、って思える気がしてね」
ラクチェは答えない。確かに、兄スカサハがいるのは当たり前だった。いない、ということを考えたことはない。
「でも、妹だと分かったから、じゃないけどユリアは今も生きているよ。それは、私の感覚が教えてくれる。ラクチェが、スカサハを感じれるようにね」
「そんないつもわかるってわけじゃ……」
ラクチェは、ちょっとうろたえてしまう自分を自覚した。同時に、ユリアに嫉妬している自分も。
セリスは、それに気がついた様子はなく、そのまま北東を見つめている。ラクチェもそれに倣った。
「本当を言えば、この先の戦いは、もう誰も巻き込みたくはない。私達だけで、戦いにケリを付けたい。けど、それは不可能だ」
このときの『私達』には、自分も入ってはいない。ラクチェはそれがわかった。
多分継承者だけを指している。セリス、シャナン、アレス、セティ、アルテナ、ファバル、コープル。
実際、彼らだけで恐らく一千の兵士に匹敵するだろう。どうあがいても超えられない、人間の限界を超えた戦士。だが、それでも万能の力ではないのだ。セリスも、それは良くわかっている。
けれど、それでもセリスのことは心配だ。彼は優しすぎる。それが、彼に無理をさせてしまうことにもなりかねない。常に解放軍の先頭に立ち、自ら剣を振るう姿は、兵士達の士気を鼓舞する。
けど、それは危険と隣り合わせだ。常に狙われる立場にありながら、最前列にいるセリスのことが、どれだけ心配か。セリスは分かってくれているのだろうか。
「セリス、私は絶対ついていくわよ。あなたがなんて言っても」
いきなりのラクチェの言葉に、セリスはちょっと驚いていた。
「もちろんだよ、ラクチェ。君とは、挙兵したときから一緒にいたんだから。でも、なんでいきなり?」
こういうとき、絶対にセリスは無敵だと、ラクチェは改めて実感した。分かっているのに、わざと聞いてくる。けれど、その笑顔をみると、文句を言う気がなくなってしまうのだ。
「ただ、ちょっと不安で……それに……」
ラクチェは視線を転じた。その方向には、暗黒がある。 夜とはいっても、今日は月が明るい。なのに、遥か彼方に見える、天の階の上は、夜の闇ではない暗黒に覆われているような気がした。寒気がしてくる。風の、冷たさによるものではない。
「正直、怖いの。けど、それ以上に……」
セリスはにこりと微笑むと、ラクチェの肩を抱いて自分の方に引き寄せた。セリスの息遣い、ぬくもりが感じられる。
「分かっているよ、ラクチェ」
セリスはそっと、ささやくように言う。その声が、あまりにも心地よかった。
「君がいてくれると、心強い。一緒に行こう。この戦いを、最後まで戦い抜くんだ」
セリスはラクチェを、正面から見据えた。目線の高さは、ラクチェの方がやや低い。考えて見たら、いつも見上げていた気がする。きれいな月の光が、セリスの青い髪を不思議な色合いに照らし出している。それは、セリスからみたラクチェも同じであった。
「私は、最後まで一緒にいるわ、セリス。そして、平和になったら、また……」
言葉に詰まった。イザークへ帰ろう、とはセリスには言えないのだ。
セリスの母が、バーハラ家の王女ディアドラと分かった以上、セリスは恐らくそのままバーハラに留まらなければならないだろう。考えてみたら当たり前のことだが、これまで気付かなかった。セリスと一緒にいられるのは、この戦いが終わるまでなのだ。急に寂寥感が沸いてくる。
「ラクチェ。戦いが終わったら、一緒にグランベルに残って、私を助けてはもらえないだろうか。その、つまり……」
そのセリスの言葉を、ラクチェが理解するまでには、かなりの時間が必要だった。さらに、その意味するところを理解したとき、ラクチェは自分が幻聴を聞いたのではないか、とすら思ってしまった。
「え、あの、その、それは……」
ラクチェは、戦場にいるときより緊張していた。まさかこんなときに、こんなことを言われるなんて思ってもいなかったからだ。でも、同時にセリスのその気持ちが、何よりも嬉しかった。
「あ、あの……はい……」
言葉の繋がりが妙な気がするけど、そこまで考えている余裕はなかった。あとで考えて見れば、ひどく混乱していたな、と思うのだけど、このときは必死だったのだ。
セリスは、その言葉を聞くと、ラクチェの知る限り最高の笑顔を見せて、それからラクチェを抱きしめた。ラクチェは、セリスの胸に顔をうずめる。ふと顔を上げたとき、ちょうどセリスと目が合った。
月の光が静かに地上を照らす中、二人の影が、ゆっくりと重なった。
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