「血が足りません」 会議の出し抜けに、突然奇妙な発言をしたのは、牡羊座の黄金聖闘士、ムウだった。 「どうした? 貧血か? 食うもん食ってんのか?」 「違いますっ!!」 ムウはその、的外れな――普通に考えれば至極まともな発言のはずなのだが――発言をした蟹座の黄金聖闘士を睨み付けた後、上座に座る教皇――自分の師でもあるシオンへと向き直った。 「どういうことだ? ムウ」 シオンが、意味がわからない、というように首をかしげる。 「そのままの意味です」 なおも首をかしげるシオン、およびその補佐官(サガ)。 「シオン、貴方ならわかるでしょう!! 私が血が足りないといえば、聖衣修復のための血に決まってます!!」 「……その一を言って十を理解させようとする話し方はどうかと思うぞ……ムウ」 ようやく得心したシオンだったが、他の者たち――特に十二宮での星矢たちとの戦いで死んだ者たち――はなおも首をかしげる。 「ああ、すまん。要するに先日からムウに破壊された聖衣の修復を――ついでに聖衣の墓場にあるやつも全部まとめてやるように命じたのだがな、聖衣というのもあれで(とてもそうは見えんが)生きている。しかし、先の聖戦で破壊されてしまった黄金聖衣、それに聖衣の墓場の聖衣のほとんどは死んでしまっている状態でな。これを蘇らせるのには、聖闘士の血が必要なのだ。それも、大量にな」 それでようやく、全員が納得したようにうなずいた。 「で、ムウよ。足りないというがどのくらいだ?」 「そうですね。ざっと考えて……」 その、ムウが言った数字には全員唖然とした。どう考えても、いまいる聖闘士全員に血を生きるか死ぬかの寸前まで供出させても、足りないのではないか、という数字だったのだ。 「無論、抜け道はありますよ。というか個人的にはぜひ推奨したい方法がね」 「なんだそれは?」 「アテナですよ。アテナの血は、ごく微量であっても聖衣を蘇らせることができ、かつ自動的に修復までしてくれます。これを利用しない手は……」 「お前はそれでもアテナの聖闘士か!!!」 すさまじい大音響が、教皇の間の会議室に響き渡った。 すぐ近くにいたサガなどは、耳を押さえて呻いている。 「……わ、わかってますよ。ちょっとした冗談じゃないですか……」 ムウはそういって顔をそむけたが、その目は明らかに冗談を言っている目ではなかった。 「ただし」 向き直ったムウは立ち上がり、一同を見回すと、高々に宣言した。 「全員、協力は必須です。大丈夫。人間の限界は紫龍が見せてくれてますから。一人で聖衣二個だって大丈夫ですよ」 無論、その時の紫龍が生死の境をさまよったことなど、まるで触れなかったムウである。 |
「ふぅ、これでどうにか修復に必要な分はたまりましたね」 聖域、十二宮の入り口でもある白羊宮。その壁一面には、所狭しと赤い液体を詰めたビンが並んでいた。無論、聖闘士たちからかき集めた『血』である。ちなみに、ムウ自身は一滴も供出していない。「私が貧血でふらふらとして聖衣の修復をミスし、さらに多くの血液が必要になってもいいですか?」というムウの言葉に、誰も何もいえなかったのである。 なお現在、五体満足な聖闘士は日本にいる元青銅の五人だけである。『元』とついているのは彼らが神位聖闘士となっているからであるが、彼らは冥王ハーデスとの戦いのダメージが深く、さすがのムウも血を寄越せ、とは言えなかったのだ。 また、この話を聞いたアテナが、自分の血も使ってくれても、と言ったが、これはシオンが断固反対――ムウは大歓迎だったのだが――した。ただそれでも、少しだけ――通常の献血と同じ200mlだけ――供出してくれたが、いざ手に入れてしまうと、ムウも怖くて使えず、一番奥の保存庫に入れてある。いよいよとなったときに使うつもりだ。 ただ、それ以外の者たち――シオン、童虎を含む――からは、ムウは容赦なく血を取り立てた。さすがにかつての紫龍ほどの量は採血しなかったが、かなり近い量を採血した。ちなみに、アルデバランは「どうせ貴方なら血も多いでしょう」といって他の人間の倍近く抜き取られ、血の気の多い、と断じられたアイオリアやミロもやたら多く抜き取られ、現在貧血でそれぞれ自分たちの宮で寝込んでいる。多分今ならば、十二宮突破は一般人でも可能だろう。 「さて……と。始めるとしましょうか」 血を抜き取られた者たちはそれはそれでバテきってはいるが、ムウはさすがにこれから先のことを考えると頭が痛くなる。何より、黄金聖衣が五つもあるというのが頭が痛い。しかもよりによって、そのうちの一つは乙女座、つまりあのシャカの聖衣である。 「いっそ、まったく別の形にして、笑いをとりたい気分ですが……」 その後でシャカとの千日戦争は御免こうむりたい。シャカも、今は相当量の血を抜き取られ、貧血状態で体力は低下しているはずなのだが、なぜか彼は超然とした態度で、貧血などどこ吹く風、という様子だった。よっぽどもう一回抜き取ってやろうと思ったほどである。 「……ま、とりあえずどうでもいい(聖衣の墓場に数年からあるいは数百年放置されていた)聖衣から手をつけますか。使う血も適当でいいでしょう」 壁に所狭しと並べられたビンから、ムウは一つを――軽く5リットルはある――取り出すと、並んでいる聖衣にまとめてぶちまけた。おそらく、見る人が見たらかなり異様な光景だろう。 聖衣はある程度自己修復する。そのため、それこそ木端微塵になっても、元の形をある程度は取り戻すのだ。もっとも、そうでなければ一緒に砕けた聖衣などは互いの部品が混じってわけがわからなくなるだろうが。それ五つに、まとめてである。荒っぽいことこの上ない。 「さて……と。始めましょうか」 ムウは、ふう、とため息をつくと工具をとりだし、カーン、カーンという音を白羊宮に響かせた。 |
「……あとは……これらですか……」 突貫作業を一度終え、残った五つの黄金聖衣の修復に取り掛かる前に、ムウは一度睡眠をとった。そのおかげで、目の下にびっしりとはりついた隈は取れたのだが、それでもまだ、体には疲労が残っている気がする。 考えてみたら、確かに聖衣を修復する必要はあるが、それほど急ぐ必要などない。それなのに修復を急いだのは、ひとえに『嫌な事は早く終わらせたい』という単純な精神の表れである。 いずれにせよ、残る聖衣は五つ。しかし、それが大問題だった。 黄金聖衣は、他の聖衣とはあまりにも違う。その力もそうだが、パーツも装飾も白銀聖衣とは桁違いだ。この上をいく聖衣に神聖衣があるが、さすがにこれは強力な自己再生能力がある上に、そもそもあんなものを壊せるのは神々くらいだろう。おそらくあれが修復の必要が出るような事態が訪れたら、自分は多分生きてないので、あれを直すことを考えなくていいが、黄金聖衣だって十分難事だ。 「しかし……」 ふと壁に目をやると、ほとんどもとの石の壁が露出している。すでに供出された血はほとんど使い切っていて、実は黄金聖闘士達の血も、一部使ってしまった。勝手にブレンドしたので、どこがどうなったのかはわかったものではない。星矢らによると、黄金聖闘士の血を受けた青銅聖衣が、黄金に輝いたこともあるらしい。自分の――はともかく、あの蟹の血にそんな力があるのかどうかはきわめて疑わしいが、それについては気にしないことにする。あの時、蟹の血を受けた青銅聖衣はなかったはずだから。 置いてあるビンは全部で十三。十二人の黄金聖闘士のうち、ムウ以外の十一人と、あとはシオンとカノンの分だ。しかしどのビンも、すでにかなり少なくなっている。これは、どう考えても一つの聖衣に一つのビンはない。 「……ブレンドするしかないですね……」 無論これまでもブレンドしてきている。それを気にするムウではない。ただ、あまりにも個性の強い黄金聖闘士たちの血をブレンドして生命を蘇らせた黄金聖衣がどうなるのか、考えると少し怖くなる。 「ま、どうせ私のではないですし、言わなければ分からないでしょう」 しかしそれが大きな間違いであることを、このときのムウは知らなかったのである。 |
「ムウ、いったい俺の聖衣に何をした!?」 最初に怒鳴り込んできたのはアイオリアだった。困惑とも動揺とも取れる表情で、獅子座の黄金聖衣のパンドラボックスをもって押しかけてきた。 「なんですか、いったい……。ちゃんと元通り修復したはずですよ」 「なら、あれはなんだ!?」 言うや否や、アイオリアは聖衣箱を開けた。 別名パンドラボックスとも呼ばれるそれは、必要のないときに開けてはならないと――しょっちゅう開けられてると思うが――云われている。迂闊に開けると、パンドラの箱よろしく禍が溢れるとも。 そして。 この時、獅子座の聖衣箱は、確かにその別名のとおりだった。 ある意味、混沌を解き放ったのである。 「……なんです、これは」 そこにあるのは、確かに獅子座の黄金聖衣である。ムウが完璧に修復したはずで、実際『見た目には』おかしなところはない。しかし。 「なんだこの薔薇の香りは!? こんな聖衣着て戦うくらいなら、生身のほうがマシだ!!」 さすがに生身だといくらアイオリアといえど、戦うのは無茶だろう、と思わなくはなかったが、実際こんな匂いのする聖衣を身に纏ってアイオリアが戦おうとしたら、戦うより先に倒れてしまうに違いない。 「ムウ、これは俺に対する嫌がらせか!? なんだってこんな芳香剤を聖衣に仕込む!!」 「無茶言わないで下さい。そんなことができるなら、アフロディーテがとっくに私に依頼してます。今調べますから喚かないでください」 ムウは、数日前の貫徹作業を思い返していた。 といっても、すでに多少記憶は曖昧ではある。 ここ二週間ほど飲まず食わずでスニオン岬に閉じ込められ、その後もしばらく生死の境を彷徨っていたからだ(※『アテネクライシス』参照)。 「思い返しても……特に妙なことはしていないはずですが。ごく普通に血を使って聖衣の生命力を蘇らせ……」 そこではた、とムウは言葉を止めた。 「ムウ?」 「この薔薇の香り……そうか。分かりました。これは、アフロディーテの血を使ったからだと思いますよ」 「何だと!?」 「ええ、確かそうです。貴方の聖衣を蘇らせるのに、彼の血と……あと、蟹とサガの血をブレンドした記憶があります」 「ちょっと待て!! 普通はその所有者の血を使うんじゃないのか!?」 「ああ、普通はそうなのでしょうが、残っていた量が微妙だったので。貴方の血は、射手座の聖衣を修復するのに使いました。問題はないでしょう?」 「そ、それはかまわないが……だが、なぜ俺の聖衣によりによって魚と蟹だ!? しかもあと一人がサガ!?」 「ムウ、これはどういうことだ!!」 千客万来。 次に訪れたのはシャカだった。 ムウは、やや疲れたように振り返る。 「いくら私が悟りを啓いているといっても、人間である以上(これはかなり疑わしい<ムウ、アイオリアの心の声)限度がある!! 氷を纏っているようなこの聖衣はなんだ?!」 シャカにしては珍しく声を荒げ、やや乱暴にドン、と床に置かれた聖衣からは、すでに冷気が噴出していた。見ているだけでも寒くなりそうである。 「これは水瓶座の聖衣……ではないですね」 「そうだ。私の乙女座の聖衣だ。だが、見ろ!!」 鎖が引かれ――ちなみにシャカは手袋をしていた。後から聞いたことによると、こうしないと手が張り付いてしまうのだという。実際その時も手袋は張り付いた――そこから冷気の元が姿を現した。そこには、紛れもない乙女座の黄金聖衣がある。 しかし、まるで永久凍土で作られた白鳥座の聖衣や、同じく凍気を内包しているといわれている水瓶座の聖衣の様に、冷気を放ち続けている。 「……ムウ。まさかと思うが、これは……」 アイオリアの問いは、ムウも即座に考慮したことだった。そして、言いたくはないが大きく溜息を吐いて口を開く。 「ええ。間違いなくカミュの血の影響でしょう……」 |
「状況を整理しよう」 サガの言葉に、一同が頷いた。 黄金聖闘士十二人、それに教皇、カノンが集まっている。さすがにこんな事態をアテナに報告はできない、ということで聖域の少し外にある、人気のない家だ。最初、デスマスクがどうせならアテネ市外で呑み食いしつつ、と提案したがそれは即座に却下された。先日、アテネ市外を木端微塵にしたばかりだからである(※しつこいようだけど『アテネクライシス』を参照)。 「まずムウ、誰の血をどの聖衣に使ったかを教えてくれ」 それに応えて、ムウは必死になって思い出したことを書いた紙を、壁に張り出した。 ●獅子座:アフロディーテ、カニ、サガ ●乙女座:カノン、カミュ ●天秤座:童虎、シオン ●射手座:アイオロス、アイオリア、アルデバラン ●水瓶座:シュラ、ミロ、シャカ 「ちょっと待ておい、なんで俺だけ『カニ』なんだ!?」 デスマスクが、至極まともな質問をしたが、これは全員に故意に無視された。 「……まず質問したい。なぜ私の血が水瓶座に使われていて、カミュの血が私の聖衣に使われた? 分量が微妙だったのは分かるが、そこに使う血は逆でも良かったのではないか? ……まあ、考えなしの血が私の聖衣に使われるのはぞっとしないが」 「……考えなしってのは誰のことだ」 ミロがシャカを睨んだ……が。反応する時点で自覚がある、と暴露しているようなものである。しかし、やはりそこまで考えが及ばないらしい。 「それは簡単ですよ。ミロが『カミュの聖衣には、ぜひ俺の血を使ってくれ』とわざわざ頼み込んできたからです。カミュは別に、自分の聖衣に自分の血を、とは言ってこなかったので、希望を優先させました」 そんな希望出さなくても常識的には自分の血をまず使ってくれるものと思うだろう、とは誰もが思うところだが、この場合は言わなかった者負け、というわけだ。 「ミロ……お前のその気持ちはありがたい。ありがたいのだが……」 カミュは嘆息して自分の水瓶座の聖衣を見やった。幸い、彼の聖衣は獅子座や乙女座ほどには異様な状態にはなってない。だが、明らかに以前とは雰囲気が違う。聖衣に雰囲気、というのも妙な話だが、この場合そういうしかない。そして、この雰囲気を持つ者を、彼は良く知っている。 そう。 すぐ隣で、冷凍聖衣と化した自分の聖衣に不平満々の乙女座の黄金聖闘士だ。 「……なんか、射手座と天秤座だけ至極まっとうなのは気のせいか?」 誰ともなく、それに頷く。 「そりゃあそうでしょう。アイオロスは私達にとっては先輩。老師はいうに及ばず、です。この二人の聖衣に、滅多な血は使えませんでしたし」 残りの血がロクなモノじゃなかった、と暗に言ってる。 「……で、どうにかならんのか?」 乙女座と獅子座の聖衣はいうに及ばず。また、実は水瓶座の聖衣にも雰囲気以外に――それも十分問題だが――他にもちょっとした問題があった。 水瓶座の聖衣は、鋭角なパーツはほとんどないはずなのだが、その数少ない場所が、どう考えても鋭くなっているのである。ちなみに、聖衣を返してもらった直後はそんなことはなかった。数日のうちに変わってしまったらしい。どう考えても、シュラやミロの影響だろう。つまり、ミロの申し出は実はそれだけでかなり迷惑だったということになる。 ここ数日、カミュは自分の聖衣で怪我しないようにいつも注意しなければならなかった。 「無理ですね。もう一度聖衣を壊して、修理しなおせばあるいは、とも思いますが。それにはまず、また同量の血を集めなおす必要があります。ですけど、あれからまだ一月程度。加えてアルデバランとカノン以外は……先日体力を消耗しきったばかり。再び黄泉の国に舞い戻りたいのなら止めませんが」 「いや、まて。アルデバランなら聖衣三つ分くらいは……」 「まて、おい。いくら俺でももたんぞっ!!」 アイオリアの言葉に、アルデバランが慌てて反論する。しかし、援軍はアイオリアの側に参上した。 「黙れ。紫龍は一人で二つ分修復したという。紫龍の倍はあるお前がたかだか三つの聖衣を修復できんでどうする!! それにカノンもいるんだ」 筋が通っているのか通っていないのか分からないシャカの説得(?)だ。 「大丈夫だ、アルデバラン、カノン。その間、私がお前を冷凍によって仮死状態に保ってやる。これなら問題は……」 三人とも完璧に本気である。今まさに、三人協力してアテナ・エクスクラメーションを放たんばかりに小宇宙を高めていた。 これはまずい。 二人は一瞬でそう判断し、そして行動をとった。この行動は、多分誰にも責められないだろう。 直後、家が吹き飛んだ。 もうもうと上がる煙の中、二人の人間が姿を消している。無論、アルデバランとカノンだった。 「逃げたか……追えっ!!」 即座に散るシャカ、アイオリア、カミュの三人。 それを見送ったムウは、のんびりした口調で付け加えた。 「……もう一つ肝心な問題があるんですけどね……黄金聖衣を壊すなんて、誰がやれるんですか誰が……。星矢たちに頼むつもりですか……?」 ムウの言葉は、至極まっとうに聞こえるが、そもそも『聖衣を壊そうとする聖闘士』という時点でどこか間違っている。しかも、それが最高位の黄金聖闘士のやろうとしていることだ。 「それより……まずくないか、これは」 サガとシオンが、同時に青い顔をして言った。 「はい?」 「彼らの走っていった方向……アテネ市がある方向だ。確かに、あの二人が逃げるなら街中の方が安全だとは思うが……」 だが、暴走した彼ら――ムウを含む――がしばしば周りが見えなくなって暴れてしまうのは、先日証明されたばかりである。 「……今確か、アテネ市街には、復興の視察にアテナがいらしているはずだ……」 全員の背筋に、寒いものが走った。 そして残った者は、何も言わず目で互いに互いを見やって暗黙のうちに一つの合意に達していた。 それは『自分たちは何も知らない』ということである。 |
後日。 干物三つがスニオン岬に放り込まれた。干物の固有名は、それぞれシャカ、カミュ、アイオリアというらしいが、岬の牢獄はそんなことは関係ない。ただ半死人――死んでいるのではないかという気もするが――が三つ入ってきただけである。 一方、白羊宮では、またもやカツーンカツーンという聖衣を修復する音が響いていた。その横には、それぞれ『アイオリア』『カミュ』『シャカ』とラベルの貼られた空のビンが転がっていて、目の前にある聖衣はボロボロにひび割れていて、完全に破壊されている。これを直すのは一苦労ではあるが、それでもまあ、これを修復すればお咎めなし、というのであれば、文句を言うつもりはない。 再びスニオン岬に放り込まれるよりははるかにマシだ。 あの後、予想通り三人はアテネ市街で、周囲を気にせずに暴れ、思いっきりアテナに発見された。聖衣の状態があれだったのもトドメだったのだろう。アテナの護衛として同行していた星矢が、アテナの命令ですまなそ〜〜〜〜にしながらも、きっちり一瞬でボコボコにしてくれたのである。図らずも、彼らは聖衣を破壊することができたわけだ。 事情を聞いたアテナは、ムウは即座に聖衣を修復することを条件に、お咎めなし、とした。 そして、問題の三人に対して、アテナは絶対零度の微笑を浮かべて言い放ったのである。 『そうですか。そんなに他人の血で修復された聖衣が嫌ならば、自分の血で蘇った聖衣なら文句は言いませんね』 かくして、彼らは盛大に血を抜かれ、挙句にスニオン岬に放り込まれた。 |
それ以来、特に黄金聖闘士の間で、献血が流行ったという。 というよりは、正しくは自分の血液を保存しておく習慣がついたのだ。 |
え〜と、確かずっきさんと呑んでいたときに出たネタです。聖闘士の血で直るという聖衣。しかし、個性的過ぎる黄金聖闘士たちの血が、果たして普通の血なのだろうか……と(爆) そんなところから出たアイデアです。まあ……実はネタはともかく、オチがなかなか思い浮かばなくて苦労したんですが。とりあえずこんな感じに。前回の『アテネクライシス』より不幸な人は減りました。ただし、トドメだったともいう……(爆)。彼らが生きてスニオン岬を出られたかどうかは私は知りません(ぇ。っていうか普通は死ぬよな、これ……。 まあ細かいツッコミはなしってことで(ぉ なお、びみょーにデスマスクの出番が多いのは某サイトの影響です(謎) あとそれから、全然関係は……ないですが。 皆さん(というか18歳以上の方々)、時間がちょっとあったら、献血に行きましょう。今ってホントに輸血用血液が足りないそうです。最近特に若い人の献血って(私はそろそろ若くないけど・自爆)減っているみたいです。でも、いざなんか事故とか、あるいは手術なんて時に『輸血用血液が足りなかった』なんて理由で重大なことに自分がなる可能性だってあるんですから。 献血なんて、それこそ400ml献血だってせいぜい20〜30分、200mlなら(女性の方はこちらの方が多いでしょうし)もっと短いです。ちょっと待ち合わせに早くついちゃって、献血カーがあったりしたら、寄ってみたりしてくださいな。ジュースももらえますし(爆) |