フリートーク13

FE世界の社会制度


 フリートーク12で、FE世界の軍隊について記述しましたが、ではそもそも社会機構全体はどうだったのだろうか、ということで(勝手に)考察してみます。
 まず、現実の歴史(主に西欧)を見てみましょう。
 古代にあった国と言えば、当然ローマ帝国ですが、これは最初から帝国だったわけではないのはご存知でしょう。ローマは元は王政で、これが紀元前五〇九年に打倒され、共和制になったと伝えられています。
 元々FE世界のモチーフは中世ヨーロッパですから(火薬がないですが)、政治制度も同じような変遷を辿っていると考えてもいいと思います。
 では現実ではどのように変わっていったかといえば、共和制ローマはやがて帝政へと変質し(ローマ帝国)、東西に分裂、西ローマは程なく滅亡、東ローマ帝国はじわじわと勢力を減退させ、最後は強大なオスマントルコによって滅亡します。それ以後、ヨーロッパはしばらく都市型国家の時代が続いた後、領土型国家がそれに取って代わり、大航海時代を経て領土型国家が都市型国家を圧倒し、植民地政策時代を経て、現在に至ります。
 では、FE世界はどのような状態かというと……アカネイア、エレブは都市型国家と領土型国家の混在、ユグドラルは都市型国家から領土型国家へのまさに変遷期、マギ・ヴァルとテリウスは領土型国家の時代だと思います。
 個別に分析(捏造)して見ます。
 まずアカネイアですが、アカネイア王国は間違いなく領土型国家です。パレスという大都市を中心に、周辺地域を支配していますし、そもそも周辺国も元はアカネイアだったはずです。まあこの辺りは、衰退するローマ帝国みたい、ともいえますが……。
 その他の国では、アリティアはおそらく都市型国家です。元は領土型だったのかもしれませんが、グラが分裂した事によって勢力が衰退したんじゃないかと。また、タリス、マケドニアも都市型国家でしょう。別に都市型国家というのは都市単一で完結してる訳ではなく、大都市を中心とした国家というだけですから。オレルアンだけちょっとわかんないんですが(汗)
 ただ、封印戦争以後の政体は大きく変わるでしょう。アカネイア帝国の皇帝ハーディンは死去、唯一の後継者であるニーナも失踪。オレルアンも後継者はハーディン以外にいる事はいるでしょうが、おそらくハーディンはオレルアンも統治していたでしょうから、いきなり彼がいなくなれば混乱は必至です。マケドニアはミネルバ王女とマリア王女がいますが、ミネルバはエンディングで明確に王位を捨てた事が明記されてますし、マリアが後を継ぐとは考えられません。事実上、国王なしとなります。タリスは、これは考えるまでもなく唯一の王位継承権者シーダが嫁いだアリティア王家に統治を委ねる事になるでしょう。アリティアは言わずもがな。というより、事実上、アカネイア大陸に残る最後の『王』はマルス一人だけなんです。例外的に、グラの継承者ユベロがマルス王の後見の下、勉強に励む、とエンディングにあるので、後にグラ王として即位するかもしれませんが、本当に彼だけ。しかし元々グラはアリティア王国の一部であり、アリティア王マルスの業績を考えると、グラの民がアリティアへの帰属を求める可能性は否定できません。
 エンディングにおいてマルスは『アカネイア連合王国の盟主となる』とありますが、その実、王国と言えるのは……ほとんどないんですよね、もう。アカネイアにはまだ人材はいますから、何とか国としてはやっていけるでしょうが、いかんせんマルスという存在は余りにも大きすぎます。マルス自身が絶対に望まないでしょうが、彼を新たな皇帝に、という動きは多分あると思いますし、実質はアカネイア大陸全てを統べるのはマルスになるでしょう。結果として、強大な領土型国家が誕生する事になると思います。
 続いてユグドラルですが、まずシグルド達の時代は、間違いなくほとんどが都市型国家です。グランベル王国も、実質は都市型国家の連合体に過ぎませんし、北トラキアやアグストリアは言うに及びません。イザークも同じです。例外はシレジア王国とトラキア王国ですが、こちらは都市単独では生活が厳しいくらい、環境が厳しいという問題があるからでしょう。
 そしてこの状況を変化させたのがアルヴィスのグランベル帝国です。彼によって、グランベル王国は単一の大国家に変わり、また、イザーク、北トラキアも都市国家郡から領土型国家へと変わりました。
 ある意味、グランベル帝国というのは、都市型国家であったグランベル王国から、領土型国家としてのグランベル帝国という社会制度の発展の形であったともいえます。私の考えでは、かつてあったグラン王国→グラン共和国→ロプト帝国という変遷は、現実の歴史のローマの変遷に近いところがあるというかなぞらえているんじゃないかと思ってます。となれば、次に来るのは都市型国家の時代(グランベル王国その他)で、次に来るのは領土型国家の時代、となるわけです……が。変化が急激だった事と、何より暗黒教団という負の存在によって受け入れられませんでしたね。
 とはいえ、セリス達の時代は、というとおそらくこの領土型国家へと変遷を遂げていくでしょう。実際、都市国家連合だったトラキアとアグストリアは、単一の王国になってますし、イザーク王国も、シャナンの下で強力な王権を持つ王国へと変わっていくでしょう。また、グランベル王国にしたところで、強力な軍隊を背景に持つ解放軍の主要メンバーが各公国の主となっているわけですから、領主達は反抗もあまりできず、やがてグランベル王の支配に完全に組み込まれていくでしょう。これは推測ですが、おそらくシグルドの時代のグランベル王国は、同じ王国でも、公国によって非常に独自色が強く、公国の民も違う公国であれば別の国の民、という認識すらあったんではないかと思います。
 あるいはやがて、その広大な土地を治めるのが特定の血統による事を疑問に感じる人が……ユグドラルに関してはいるとは思えないなぁ……なんせ、ホントに神様の血統ですからね、聖戦士は。王権神授説を地でいけますから(笑)
 さて、続いてエレブ。
 こちらは大きく五つの地域に分かれます。エルトリア、ベルン、リキア、サカ、イリアですね。
 このうち、明確に王国を形成しているのはエルトリアとベルンで、この両国は広大な領土を持つ領土型国家です。
 一方リキアですが、『リキア同盟』の名が表す様に、こちらは典型的な都市型国家の連合体です。リリーナと結ばれるエンディングでは、リキアが『統一リキア王国』として一つの王国を形成しているようですが。
 イリアはヨーロッパで言うところのスイスのように、傭兵業で成り立っている特殊な国で、国と言うより地域と言う方が正しいでしょう。多分ですが、傭兵ギルドが国そのものの運営すら担っているのではないでしょうか。もっとも、領土型国家ばかりになってしまうと、国家間戦争が減って、傭兵の食い扶持に困る事にもなりそうですが……。
 サカは遊牧民の国なので、これは都市型、領土型どちらにも当てはまりませんね。ちょっと特殊です。
 そしてマギ・ヴァルですが、こちらは国の成立がそもそも魔王との戦いの英雄たちが始祖、ということで、始めから領土型国家として成立している特殊な例です。まあそれでも傭兵とかの出番がそこそこあるところを見ると、領主間の争いとかは国が介入するまで好き勝手やっていたんじゃないかと思われますが。ただ、マギ・ヴァルの王権の強さはユグドラルのセリス達に匹敵するんじゃないかと思います。
 最後にテリウス……ここが一番分からない。というのは、人間以外の存在の国家が歴然と存在する時点で……。
 クリミアとデイン、ベグニオンがベオク(人間)の国、ガリア、ゴルドア、フェニキス、キルヴァスがラグズ(獣人)の国。次いでに『テリウス大陸』となってますが、公式マップ見ると、デイン、ベグニオンの東はまだまだ陸地がありそうな……。
 とりあえずそれはおいておいて。
 この地の国のうち、発祥のはっきりしてるのがベグニオンとゴルドアの二国。どちらも、かつて邪神を封じた戦いの英雄(ゴルドアはまだ生きてるけど)が始祖となってるようです。また、クリミア、デイン両国はベグニオンを宗主国としているところを見ると、かつてはおそらく同一の国だったのでしょう。
 また、ガリアは深い森に囲まれている事、他の国は空を飛ぶなりしないとまともに入れない国である事を考えると、かつてはベグニオン、デイン、クリミアの地域が人の住む領域だったんじゃないかと思います。
 事実上、ベグニオン一国ですね。
 と言うわけでこちらは、完全な領土型国家、しかも外敵なし、という状態じゃないかと。さすがに現実の歴史にこのケースはありません。多少近いかと思われるのは、無敵を誇った状態のモンゴル大帝国でしょうが、外敵がいなかったわけではないですしねぇ。
 ただ、ベグニオンは『帝国』となってますが、皇帝がいるわけではなく、宗教国家、という特殊な国です。この辺りを考えると、むしろローマ帝国が一番近いのかな、と思います。あっちはイスラムと言う強大な敵がいましたが……。まあ宗教国家、というわりにその辺りの設定はまだ全然はっきりしてませんからねぇ。それがはっきりしてからじゃないとよく分からない……。

 以上、すんごい適当に書いてみました。
 創作を書く上ではこういうのも考えておくと色々仕掛けが出来たりして楽しいかなあ、と思って書いてみたんですが……役に立たないかも(汗)
 ただ、フリートーク12とこれと合わせて思ったのは、この世界、全然平和じゃないだろうなって事です。
 傭兵が職業として普通に成り立つ、しかも傭兵単独ではなく傭兵団が、というのは、つまり日常的、とまで行かなくても小さな紛争の火種の尽きない世界である、と言えます。
 私達日本人は基本的に平和な国に生きてますから、たとえば聖戦の系譜でエンディング後は、少なくともセリスが生きている間は争いなんてほとんど起きない平和な時代が続く、と考えがちですが、実際のところは、というと、国家間戦争は起きない(全員友人みたいなものですしね)でしょうが、領主間の争いなんてのはむしろ頻発しているんじゃないかと思います。まあ終戦後二十年も経てば減るでしょうが、特に終戦直後はその辺りの争いがすごかったんじゃないかと。
 国王という存在がいるからといって、すべての領主達がそれに絶対服従を誓う、というのは妄想に等しく、実際には王位を脅かすことはないにしても、領内での自分の権益は護ろうとするし、隣の領主との些細な争いなんてのは珍しくもないでしょう。ぶっちゃけ国王なんて、それらを調停する役割が一番なのかもしれません。
 そしてだからこそ、神(それも一神教)という絶対の権威を自らの権力の裏づけとする『王権神授説』が出てきて、中世後半の絶対君主国家が出てきたという一面もあるのではないでしょうか。


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